新しい自転車

我が家に新しい自転車がやってきました。

学生時代、ずっと自転車通学をしていた私。
当然ながらそのころは今より若くて体力もあったので、雨の日も風の日も、どこに行くにも自転車を愛用していました。
しかし、念願だった免許を取得してマイカーを手に入れてからというもの、移動手段はすっかり自転車から車にシフト。
最初のうちこそ運転もこわごわでしたが、慣れてくると、車は快適そのものです。
雨が降ろうが風が吹こうが、関係ない。
買い物に行って、10キロのお米とトイレットペーパーを二袋まとめて買っちゃっても大丈夫。
以来、愛用の自転車は庭の片隅でひっそり悲しく錆びてゆき、最後は廃品回収業者に引き取られていきました。

ところが、年が明けて間もないある日の午後。
散歩の途中、ふらりと立ち寄ったサイクルショップで「彼」と出会ったのです。
淡いブルーの華奢なフレーム。
クラシックなブラウンのサドル。
籐で編まれたバスケット。
そのシャビーシックな佇まいに目が釘付けになりました。
まさに、一目惚れ、でした。
気が付いたら、ショップの店員さんにカードを差し出して「彼」を家に連れ帰っていました。

「彼」のおかげで、私のサイクル・ライフは久しぶりに復活をとげました。
私は「彼」をチャーリー号と名付け、よほど天気と気分が悪い日でもない限り、チャーリーとともに出かけました。
さすがに昔と違って、15分もペダルを踏めば息切れし、坂道ではよろけたりもしましたが、そんな体力の衰えもなんのその。
刺すような北風にも、飛び始めたスギ花粉にも負けず、チャーリーの上から眺める景色は私を幸せな気持ちにしてくれました。
チャーリーのいいところは、維持費がかからないこと。
環境にやさしいこと。
そして何よりスタイリッシュなこと。
そのとき、私は想像すらしていなかったのです。
チャーリーとの幸せな毎日に突然、終わりがやってこようとは……。

最近の私は、夢のために通学をしているのです。声優学校でアナウンスの勉強をしているんです。
ある朝、いつものように声優学校に出かけようとして庭に出ると、チャーリーは影も形もありませんでした。
……盗まれてしまったのです。
どうして!?鍵もチェーンもしっかりかけておいたのに!!いったい誰が!?
びっくりして、がっかりして、その日は一日ふて寝して過ごしました。

あれから一週間。
チャーリーはまだ戻ってきません。
今ごろ、どこのどいつが私のチャーリーにまたがっているんだろうと考えると、何だか男を寝取られた女のような気分になってきます……。

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